Taeko Svensson san skriver på japanska om föreställningen Faller damm, faller regn
スウェーデン女性、白拍子を舞う
日本舞踊は、踊ることは勿論、見るほうもあまり縁が無いものと深く考
えることも無く思っていたものの、考えるに、昔ガイジンさんの主人を
連れて祇園祭に行った記憶があり、祇園のきれいどころが舞台で踊って
いる写真もアルバムにある。そういえばつい最近歌舞伎の顔見世公演も
見に行ったしで、日本人であればまったく無縁とということはないのは
当然かも知れない。
アミさんはダンサーである。軽やかな歩き方も、体のこなし方からもそ
れが何となくわかる。もう20年以上も前になるのか、日本語の成人講
座を受け持っていたことがあり、その講座にダンサーのアミさんがい
て、確か日本舞踊にも興味があるのでというのが日本語をする理由であ
ったと覚えている。その後、彼女は妊娠6ヶ月のお腹を抱え、京都の西
川流の舞踊の師匠のもとへ日本舞踊の修業に出かけると連絡があった。
詳しくは知らないけれど、そのための資金はxx基金その他からのかき
集めらしかった。
その彼女から最近メールで、白拍子公演のお知らせが入って、日本人会
の皆さんにもぜひ見ていただきたいという。お知らせを会員に送るにあ
たり、『白拍子』の定義は何かと早速ネットで検索してみると、ウィキ
ペディアでは『平安末から鎌倉時代にかけて起こった歌舞の一種、及び
それを演ずる芸人、、、』とある。どなたかのブログを見ると『白拍子
は、歌って踊れる当時のトップアイドル、、、』とあって、これはなか
なか言い得て妙だなと感心する。白拍子だった静御前と義経の恋物語
は、言ってみればアイドル歌手とイケメン政治家との、時代が時代なら
ば週刊誌にも格好の話題を提供するものだったかもなんて想像を逞しく
する。今春、日本へ行ってたまたま買ってきた文庫本に『平清盛をかこ
む女たち』というのがあって、清盛もまた白拍子をこよなく愛した人の
ひとりであったということも知った。
さて当日、ヨーテボリ日本人会の皆さんにはメールでお知らせを出した
ものの、平日の夕方ということもあったのか日本人会からの参加者は5
人という寂しさ。それでも観客は100名近くあり、公演そのものは何
ともすばらしいものであった。アミさんの白拍子に、京都から来られた
という野中 久美子さんが能管を吹き、アミさんのご主人ペレがコンピ
ューターアレンジしたキーボードを弾く。この三人が其々にその専門部
門を巧みにこなし、踊りも楽器もそのプロたる意気を、また粋をも感じ
させた。その衣装も、日本から調達したという「本物」で、日本ではこ
のような公演を見られるのはごく限られた機会のみであろうと、これを
見逃した人にはお気の毒としか言いようが無い。
アミさんが舞う静御前の白拍子の踊りは、闇の中の音楽の中からしずし
ずと始まり、時には激しく時には悲しげにと非常に印象深いものであ
った。能管の野中さんもすばらしいプロで、あの小さな能管から何と奥
深い豊かな音が流れ出たことか。
会場がTredjevåningenという町の中央からは離れた地味な場所でもあ
り、一般人がよく出入りするという所ではないともいえるので、観客は
限られたのかも分からないが、会員以外の参加者は所謂文化人でも、好
奇心旺盛で、懐広い人たちのように見受けられた。日本人にもあまり馴
染みの無い古い日本文化を、この北の国で外国人が興味を持つ、何とも
複雑且つ暖かい気持ちにさせられた時間でもあった。アミさん、ペレさ
ん、野中さんどうも有り難うございました。
スヴェンソンー速水妙子
(ヨーテボリ日本人会書記)
Kumiko har rest tillbaka till Kyoto men kommer säkert till Sverige om inte alltför länge.